生きとし生けるものが幸せでありますように

理性とは何か?


 理性とは何でしょうか?理性とは「因果法則」のことです。世の中には、あれやこれやとやたらに知識を集めている人がいますが、知識を集めるだけでは何の役にも立ちません。知識の倉庫になるだけです。本をたくさん読んでいるからと言って、知識人とは限りません。ときどき辞書をまるごと暗記している人もいますが、いくら暗記してもほとんど役に立たないのです。大事なのは、知識をどのように使うか、ということです。調べたデータの関連性を発見して、さまざまな公式を作るのです。公式が正しければ、いままで知らなかったことも知ることができます。例えば、いったん三角形の面積を求める公式を知ったなら、どんな三角形でも、大きいものでも、小さいものでも、縦に長いものでも、横に長いものでも、三角形でありさえすれば、その面積を正しく知ることができるのです。公式が正しければ、結論も正しいのです。

 お釈迦さまは超越した智慧で、あらゆるすべての現象の公式を発見なされました。それは「因果法則」です。物質も、感情も、こころも、宇宙も、あらゆるものは変化しています。変化するすべてのものの公式は因果法則なのです。科学者たちはこれまでにたくさんの公式を発見しました。しかしそれらすべての公式の中で究極的な公式は「因果法則」なのです。因果法則で説明できないものは一つもありません。

 因果法則はシンプルです。「これがあるとき、かれがある。これが生ずるとき、かれが生ずる。これがないとき、かれがない。これが滅するとき、かれが滅する」。これを頭で分かっただけでは本当に理解したことにはなりません。実際にたくさんのデータをこの公式に当てはめてみることが大切なのです。なぜ長い間ヴィパッサナーを実践しなければならないかといいますと、データを十分とるためです。自分に関わるデータをとり、観察し、ひたすら公式に当てはめてみるのです。たとえば「欲があるとき、苦しみがある。欲がなければ、苦しみがない」「怒りが生まれたら、苦しみが生まれる。怒りが消えれば、苦しみが消える」「悪い行為をすれば、悪い結果がある」「善い行為をすれば、善い結果がある」などと。そして因果法則を真に発見し、体得した瞬間、悟りが開け、解脱するのです。因果法則を知らずして解脱することはできません。

スマナサーラ長老 施本
「感動した!」の落とし穴 より

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメントをどうぞ

コメントする