生きとし生けるものが幸せでありますように

猫との対話 ~幸せなチームのつくり方〜

チームで活動することについて、お釈迦さまはどのように仰っているのかな?

そうだ、先生にお聞きしてみよう♪

仏教の経典を読むと、お釈迦さまは弟子たちに繰り返し「和合しなさい」と諭されています。

「和合」という教えについて、私たちに役立つポイントを教えていただけますか?

お釈迦さまは生涯を通じて、一生懸命、人々に和合の生き方を教えようとしました。

仏教の和合は、「水と牛乳が混ざり合うように、違う性質の液体を混ぜても見事に同じものになってしまう」という喩えで表現されます。

一人ひとりが違っても、皆が一緒に活動するなら、見事に一つになって調和することですね。

インドにはガンガーやヤムナーといった大小の数限りない河川があります。それぞれの川の水は同じではないが、やがて海に注ぎ込みます。海に入ったら、「私はかつて聖なるガンジス川の水だったから、お前たちは近づくなよ」なんて笑い話でしょう。一つになるのです。

ブッダの世界に入ったら、どんな富豪でも、ホームレスでも、性別や肌の色がどうであれ、カーストがどうであれ、みんな仲間だと、そうやって和合するのが最高の幸福だと、お釈迦さまは説きました。しかし、皆やりたがらないのですね。我を張って、個性・アイデンティティを発揮したがるのです。

お釈迦さまは、出家に限らず俗世間の人々にも、自我を張ることなく、自分の持っている能力で仲間に貢献しなさい、と教えました。自分の能力で周りに貢献すれば、そこに充実感が生まれます。周りにとっても、その人は有り難くて仕方がない存在になるのです。

しかし、「自分を特別に褒めてくれ」なんていう気持ちが生まれてくると、ややこしくなります。そうやって自我を張る人は、あらゆる問題を作るのです。

「自分は特別だ」という気持ちが組織をダメにすると。

そうです。人は、うまくいっている社会(組織)のありさまを見て、誰かが中央でコントロールしていると勘違いしがちです。その思考で恐ろしい「神」まで生まれたのです。

しかし、生命の世界に指導者はいません。管理人もいません。
川の水が海で一つになるように、生命の世界はお互いに支え合うことで総合的に成り立っているのです。

人間の社会でも、うまくいっているのは「偉大なる指導者のおかげ」ではありません。人々がお互いに支えあい、貢献しあって和合を保つことで、住みやすい社会・組織が成り立つのです。

逆に、社会に問題があるならば、組織がうまく機能していないならば、どこかに「自分は特別」という自我の病が見つかるはずです。

社会に貢献することについて、もう少し教えていただけますか?

できる能力を提供するというのは、いたって簡単なことです。
世間では能力がないのに努力することを褒めますが、仏教はそれに大反対です。
民主主義の組織では、無理なことを努力するべきではありません。

人間、何かしら出来ることがあります。自分に出来ることで仲間に貢献してあげるのが大切です。

これはぜんぜん無理ではないし、楽しいことです。何かをやって楽しいか否かというポイントをチェックしてみてください。できないことをやっていると楽しくない。できることをやっていると楽しくなって、時間も忘れて、過労もまったくないのです。

そのためには理性が必要です。自我を張ることではないのです。自我を張ると、自分に出来ないことまでしようとします。人を抑えつけて、管理しようとします。偉そうに命令しようとします。そういう振る舞いは、自我を張ったということです。

それで皆、嫌になって協力しなくなってしまう。すると人々をあらゆる規則で束縛しないといけなくなる。強力なリーダーが現れて、恐ろしい独裁的な組織が出来上がってしまうのです。

仏教は、独裁的なリーダーに反対ですか。

独裁的なリーダーに管理される組織は、自由ではありません。
そのような組織のメンバーになることは、自分が喜んで束縛の条件を呑むことになります。

何かの目的があって組織を作ります。その組織の全員が、組織の目的に達するために努力しなくてはいけません。それだけでも、和合を保てます。調和が生まれます。

メンバーたちは、皆、さまざまな能力を持っています。ある人は、明確に理解しやすく喋ることが上手です。皆に必要な情報をアナウンスするのは、その人がやれば楽です。管理能力のある人がいます。その人が組織の運営などを管理すればよいのです。皆に愛される人気者がいます。その人はリーダーとしてまとめ役をすればよい。文章を書ける人は文章を書く、美術の能力がある人はイラストを描いてあげる。

そうやって、おのおのが持っている能力を出し合うなら、文字どおり民主的な組織になることでしょう。

「ブッダの経営論」より

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