皆さまの実践を応援するために、もう一つのポイントを申し上げます。
お釈迦さまが「この仏道はどのようなものか」と説法をなさるとき、よく使われる言葉がいくつもあります。
- これは役に立つ道です。
- 幸福の道です。
- 安らぎの道です。
- 一切の苦しみがなくなる道です。
- 憂い悲しみが消える道です。
- 平安が得られる道です。
はっきりと明確に、お釈迦さまがおっしゃっているのですね。
これで皆さま方にも、仏道はイヤな道ではないこと、せっかくの楽しさを壊す道ではないこと、いまの幸せ、いまの楽しみを捨てて、何か損をしてしまう道ではないことがおわかりになると思います。屠殺所へ強引に連れていかれる牛のような気持ちで実践をする必要はないのです。
仏道は幸せの道なのです。牛に喩えて申しあげれば、一生柵の中で、あるいは牛小屋の中で、いつも同じ合成飼料で生きてきた牛を、自然な空気ときれいな水に恵まれた野原に放してあげることと同じだといえます。仏道を実践する皆さま方は、けっして悪いことをなさっているわけではないのです。
なぜ、この冥想実践会に参加なさったのですか?まあ、皆さまは大胆なことを考えていないかもしれませんが、この実践の目的は一切の苦しみをなくすことです。幸福と平安、こころの安らぎ、こころの安定感を味わうためなのです。表現をわかりやすく変えて言えば、人間のこころの中に生まれる、生まれてきた、これから生まれてくる、一切の問題に、疑問に、悩みに、答えを見つけるためなのです。
ですから、すごく明るく、この時間を過ごしてほしいのです。皆さまの人生の中で、この時間こそが大事なのですよ。
スマナサーラ長老 施本 / 仏教の「無価値論」より
施本の元になったのは2000年10月の京都・宝泉寺様「初期仏教宿泊冥想実践会」初日の夜のご法話
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