斜面を守るには、水や空気が通りやすく、ほどよく水を保つ土が必要です。このような土なら、大雨でも斜面が崩れにくくなります。そのような土にするために、微生物の力を借りて、「団粒構造」にしていく作業を紹介します。

土の中にすきまがなくて、かたくなっているところを探します。
ドライバーがなかなかささらないくらい土が固いと、水や空気が入りにくくなります。すると、植物がうまく育ちません。
このような土には、草があまり生えていなかったり、つる植物が育っている場合が多いようです。

これが燻炭(くんたん)とよばれる炭です。
灰はアルカリ性が強すぎ、炭素が少ないので、炭の代わりにはなりません。
改良しようとする場所に炭をまいて、土に混ぜ込んでいきます。
使う道具は、貫通ドライバーです。
炭の入ったバケツに、今年初めて見るセミが飛び込んできましたが、この作業は季節を選びません。







微生物は、落ち葉などを分解してエネルギーに変えているそうです。
ここに、微生物の「食べ物」を入れると効率があがります。
木の枝、わら、草なども食べ物になります。食べ物を穴に差しておくと、空気の通り道にもなります。

微生物が土を「団粒構造」にするには、食べ物のほかに、空気や水も必要です。
炭を入れると、微生物がこれらを使いやすくなります。
土を改良したい場所で、30cmくらいの間隔をあけてこのような作業を繰り返します。
数週間もすると、貫通ドライバーが簡単に入るほど、土の状態が大きく変わるのがみられます。
土が変わると、草や木が根を張り、ますます斜面が安定します。



土を改良しているのは、本当は土の中の生きものたちです。この記事で紹介した方法は、彼らのくらしを少し手伝うだけです。このような簡単な作業でも、斜面の安定に役立つ変化があらわれます。機会がありましたら、ぜひ、土の変化を感じてみてください。小さな実践の積み重ねが、森づくりにつながっていきます。
微生物という言葉を何度も使っていますが、実はこの「微生物」をきちんと説明できるわけではありません。この分野は専門家の間でもまだわかっていないことが多いようです。
植物と微生物の間には、まだまだ深い関係があるとも言われています。もし何か役に立ちそうなアイデアがありましたら、ぜひ現場で試してみてください。
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